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主な研究課題

2024

キトサン−シロキサン複合体

生体高分子のキトサンに無機分子を修飾し,新たな機能を発揮する組織再生用足場材料を作製します。

キチン・キトサンはエビやカニのような甲殻類から採取できる生分解性高分子の一つです。分子内に活性なアミノ基(-NH3)が存在し,様々な化学反応によって新しい分子を修飾することが可能です。私たちは,無機,特にシロキサン構造に着目し,それを分子レベルでキトサン骨格に修飾し,新しい機能を有する有機-無機複合材を合成しました。この複合体の作製にはゾルーゲル法を用いており,乾燥条件を変えることで,透明で柔軟な薄膜や,スポンジ状の多孔質体,粘土様のペースト等に成形できます。

 

フィルム

柔軟で透明

シランカップリング剤添加量や重合条件により透明で柔軟なフィルムが得られます。特定の組成のフィルム表面で培養した間葉系幹細胞は石灰化します。 

多孔質体

孔の大きさや形状を制御

凍結温度や氷結晶の混ぜ込みにより、様々なサイズの連通孔を有する多孔質体が得られます。細胞遊走に適する多孔構造の探索を行っています。 

カプセル

薬剤や細胞の担持

キトサンの静電荷を利用したカプセルを作製し、被膜の強度を架橋によって改善しています。内部に薬剤や細胞を担持させ、薬剤徐放担体としての応用を期待しています。 

ヒドロゲル

熱応答性硬化

リン酸との組み合わせにより、低温ではゾル、高温ではゲルに転移するヒドロゲルです。セラミックス粒子を混合すると、粘土様の状態にもなります。注入型充填剤や熱耐性ゲルへの応用を目指しています。 

ファイバー

強度改善・3次元化

キトサンを架橋し強度や分解速度の制御を目指した単繊維を作製しています。得られた単繊維から3次元帯を作り、人工靭帯や神経再生足場材料への応用を考えています。 

チューブ

柔軟・透過性

モールドを使って多孔質なチューブを作製し、神経再生足場材料への応用を目指しています。 

ミクロ粒子

薬剤担持・徐放

マイクロ流路を用いて、形状・サイズが均一なマイクロ粒子を作製し、薬剤担持体としての応用を目指しています。 

薄膜

貼付性

有機ー無機複合体から生体表面へ貼付しても違和感がない薄膜の創製を目指しています。 

学術的な興味

ケイ素は古くから哺乳類の骨格形成に必須の微量元素であることが知られています。バイオガラスから溶出したケイ酸イオンやシロキサン骨格を有する材料が、骨形成等を促進することも多く報告されています。本研究室では、有機ー無機複合体を利用して、ケイ素周囲の構造と各種細胞応答性の関係を見出し,新しい材料設計に活かします。

 

その他

抗ガン剤の合成や,新規インプラント材料の開発などを共同研究者と一緒に研究しています。